翻訳家が教える『風と共に去りぬ』の真の姿

『風と共に去りぬ』は20世紀を代表するロマンス小説として知られていますが、その本質は恋愛ではないことをご存知でしょうか?翻訳家・文芸評論家の鴻巣友季子さんによる『NHK「100分de名著」ブックス マーガレット・ミッチェル 風と共に去りぬ 世紀の大ベストセラーの誤解をとく』が9月26日に発売されました。

この書籍では、鴻巣さんが翻訳家ならではの視点で、この名作の多面的な読み方を提示しています。鴻巣さんは、原文を精緻に読み込むことで、『風と共に去りぬ』が単なるロマンス小説ではないことに気づきました。

例えば、「ヒロインは二人いる」「実はシスターフッド小説である」「養護と扶養という視点で読むと面白い」といった、新たな解釈を提示しています。

翻訳家として作品に深く向き合うことで見えてきた、これらの斬新な読み方は、翻訳者にとって大いに参考になるでしょう。原文を表面的に捉えるのではなく、その奥深くに潜む真の意図を汲み取ることの重要性を再認識させてくれます。

また、鴻巣さんは「おわりに」で、この小説がハリウッド映画の影響で誤解されてきたことにも触れています。映画化によって作品が広く知られるようになる一方で、原作の本質が見失われてしまうことがあるのです。

翻訳者は、そうした先入観にとらわれず、原作の真の姿を伝えることが求められます。この書籍は、NHKの人気番組「100分de名著」の番組テキストに、特別章やブックガイドなどを大幅に加筆し、書籍化したものです。

翻訳者にとって、名作を多角的に分析した内容は、翻訳スキルの向上に役立つこと間違いなしです。『風と共に去りぬ』の真の姿を知ることで、翻訳者としての視野を広げ、作品の本質を捉える力を養いましょう。

鴻巣友季子さんによる『NHK「100分de名著」ブックス マーガレット・ミッチェル 風と共に去りぬ 世紀の大ベストセラーの誤解をとく』は、そのための最良の一冊となるでしょう。