翻訳不可能と言われた『フィネガンズ・ウェイク』が2024年8月26日に復刊!

by TMJ JAPAN

英語文学の金字塔とも称される『フィネガンズ・ウェイク』。その難解さゆえに長年翻訳不可能と言われてきましたが、ついに日本語訳が完成しました。 この作品は、翻訳者を目指す人やなりたての人にとって、非常に興味深く示唆に富んでいます。

目次

限界への挑戦

『フィネガンズ・ウェイク』は、言語の限界に挑戦する野心的な作品です。一見すると英語で書かれているようですが、実際には60以上もの言語が巧みに織り交ぜられ、言葉遊びに満ちています。

通常の文法や語彙の規則を超えた表現が随所に見られ、一つの単語が複数の意味を含んでいたりと、言葉の可能性を極限まで追求しているのが特徴です。このような型破りな作品を翻訳するには、単に言葉を置き換えるだけでは不十分です。

原文に込められた意図を深く理解し、既成概念にとらわれない柔軟な発想力を発揮することが求められます。
訳者は言葉の表面的な意味だけでなく、その奥に隠された意図をも汲み取る必要があるのです。

『フィネガンズ・ウェイク』は、言語の限界に果敢に挑み、新たな表現の可能性を切り拓いた作品と言えるでしょう。その革新性ゆえに翻訳が困難とされてきましたが、訳者にとっては自らの言語感覚を磨く絶好の機会にもなります。

常識の枠組みを超えて自由に言葉を操る作者の姿勢に触れることで、翻訳者としての創造性を高めることができるはずです。

高度な文化理解の必要性

『フィネガンズ・ウェイク』を読み解くには、高度な文化理解が不可欠です。作中には、神話、歴史、文学など、あらゆる文化的要素が盛り込まれており、これらの背景知識なくして原文の真意を汲み取ることは困難と言えるでしょう。

例えば、登場人物の名前一つをとっても、その由来は古代ギリシャの神話に遡ったり、アイルランドの伝承に関連していたりします。また、作品の随所に散りばめられた寓意や暗喩を理解するには、西洋文学の深い教養が求められます。

翻訳者は、単に言葉を置き換えるだけでなく、原文に織り込まれた文化的文脈を十分に理解していなければなりません。作者が込めた含蓄を読み取り、日本語訳にも反映させるためには、幅広い知識と教養が必要不可欠なのです。

『フィネガンズ・ウェイク』は、翻訳者にとって文化理解力が問われる好例と言えるでしょう。原文の背景にある文化的要素を深く掘り下げ、その本質を捉えることができてこそ、初めて訳文に命を吹き込むことができるのです。

創造的な表現力の発揮

『フィネガンズ・ウェイク』を翻訳するには、訳者の創造性と表現力が大いに問われます。原文の言葉遊びや複雑な表現をそのまま直訳するだけでは、日本語として不自然で読みにくい訳文になってしまうでしょう。

訳者には、原文の世界観を損なわずに、日本語の文脈に合った自然な表現を生み出すことが求められます。時には原文から離れて、全く新しい言葉を創造する必要もあるかもしれません。

『フィネガンズ・ウェイク』の革新的な文体を日本語で再現するには、既存の表現に頼るだけでは不十分なのです。しかし、そこには訳者の創造力を存分に発揮できる面白さもあります。

型破りな原文に触発されて、日本語の新たな可能性を切り拓いていく。そんな創造的な翻訳のプロセスは、訳者にとってこの上ない喜びになるでしょう。

まとめ

以上のように、『フィネガンズ・ウェイク』のような難解な作品に挑戦することは、言語能力だけでなく教養や創造力など、翻訳者に求められる資質を磨く良い機会になります。特に翻訳者としてのキャリア形成の初期段階では、自らの力を試し、高めていくためにも、このような高い壁に積極的に挑戦していくことが大切だと思われます。

TMJ JAPAN

東京都品川区にある翻訳会社です。日英翻訳を中心に、他言語に渡る翻訳・通訳サービスを提供する翻訳会社・通訳会社です。

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