翻訳業界とは?市場動向とキャリアパス

by TMJ JAPAN

翻訳業界で生き抜いていくためには、業界の動向を知っておいて損はないでしょう。市場規模や需要の変化など、とらえておくべき情報は多岐にわたります。今回は、基礎知識を身につけつつ、おすすめのキャリアパスについてもご紹介します。

目次

翻訳業界の概要と市場規模

翻訳業界は、国際的なビジネス、文化交流、教育、政府の外交政策など、幅広い分野で不可欠な役割を果たしています。言語という障壁を超えて、異なる文化間を繋げる架け橋として、グローバル社会においてその重要性は増すばかりと言えるでしょう。

翻訳業界のグローバル市場規模は、2022年は227億ドルを超えており、2023年には236億ドルまで成長する見込みと言われています。これは日本円に直すと3兆円を超えており、途方もない金額です。

この数字はさらに成長をしていく見込みとされており、デジタル化の進展や国際的な取引の増加、多言語コンテンツへの需要拡大などが、この成長の推進を支えています。

日本国内の翻訳市場規模は、2500億円以上とされています。2017年に日本通訳連盟「2017年度第5回翻訳・通訳業界調査結果報告」では、2561億円と発表されており、ここから数年でさらに成長しているはずです。

特に、技術文書、医療文書、法律文書、および商業文書の翻訳需要が高まっており、これらの分野での専門知識を持つ翻訳者の需要は絶えず増加しています。

市場の動向

翻訳業界は、近年の機械翻訳技術の進化によって大きな変革期を迎えています。AI技術の進歩により、翻訳のスピードとコスト効率が大幅に改善し、多くの企業が活用するようになりました。

しかし、専門的な翻訳や文化的なニュアンスを要する翻訳などにおいては、依然として高いスキルを持つ人間の翻訳者が需要な役割を果たしています。

機械翻訳もツールによって、制度や得意とする範囲はさまざまあり、翻訳対象となる文書やクライアントの求める品質の成果物が得られる最適な方法を見つけ出すことも重要です。

技術の進化とその影響

翻訳業界の技術の進化といえば、機械翻訳の技術の進化が注目を集めるところです。Google翻訳やDeepLなどのツールは、一般的にも広く利用されるようになり、その能力は初期の単純な単語置換から文脈を考慮した翻訳へと進化を遂げています。

特に、ニューラルネットワークに基づく翻訳モデルは、自然な文章生成能力において顕著な進歩を見せています。

また、大規模言語モデル(LLM)、例えばOpenAIのGPTシリーズやGoogleのGeminiは、対話型AIチャットとして大きな注目を集めました。これは、言語理解や生成の幅広いアプリケーションで使用されており、翻訳をすることも可能です。

これらのツールは、それぞれ特徴がありますが、複数言語にまたがる翻訳に強みを発揮すると言われています。

AI技術による翻訳プロセスの効率化

AI技術の進歩は、翻訳者にとっても作業の効率化において好影響を得るものとなっています。例えば、翻訳メモリーシステムは、以前の翻訳を記憶し、類似のフレーズが再び現れたときは自動的に提案することで、一貫性を保ちながら作業時間を短縮することが可能です。

このように、翻訳者は繰り返し発生する作業から解放されることで、効率的に作業を進めることができます。プロフェッショナルな翻訳者のスキルが求められる、文化的なニュアンスを含むものや専門的な用語の翻訳など、より価値の高い作業に集中することも可能です。

AI技術の進歩は著しいものがありますが、その能力には限界があり、任せられる範囲については議論の的となるところです。専門性の高い文書や文化的な理解など、課題もまだまだ残されているのが現状と言えます。

市場の動向と需要の変化

グローバル化が進む中、特に非英語圏でのビジネス拡大が進んでいます。アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど、新興市場の国々では地元言語への翻訳ニーズが高まっており、これらの地域の言語に対する翻訳サービスの需要が急速に増加していると言われています。

企業はこのニーズに適応するために、多言語対応のコンテンツを増やす必要性が高まるでしょう。ウェブコンテンツ、ソフトウェア、アプリなどの多言語化が想定され、特にオンライン教育、eコマース、エンタメ業界では多言語でのアクセスが重要です。これに伴って、翻訳の需要にも大きな影響があるでしょう。

自動化と人的資源のバランス

AI技術と自動化の進展は、翻訳プロセスの効率を向上させていますが、高度な専門性を要する案件や創造的な内容の翻訳には依然として人間の翻訳者が必要です。

翻訳業界では、AIと人間の翻訳者が協力して作業を行うハイブリッドモデルが増えており、それぞれの強みを生かしたサービス提供が求められています。

翻訳者としてのキャリアと技能

翻訳者として業界で生き抜くための方法は多岐にわたります。個人で活動するフリーランスや、企業や政府機関の専属翻訳者、翻訳会社に所属するなど選択肢はさまざまです。

成功する鍵としては、専門分野を持ち、その領域で深い知識と経験を有することが挙げられます。技術、医療、法律、金融など、特定の分野で専門知識を深めることが、高い収入を得る上でのポイントとなります。

その上で、翻訳者に求められる基本的なスキルは、もちろん言語能力の高さです。しかし、単に2言語間でテキストを変換するだけでなく、文化的な背景や文脈を理解し、それを反映させる能力も重要です。

また、翻訳支援ツール(CATツール)や機械翻訳ソフトウェアを効果的に使いこなす技術的スキルも非常に重要とされています。これらのツールを使いこなすことで、作業の効率化と精度の向上が図れます。

翻訳業界は常に進化しており、新しい技術や市場の動向に適応するためには、継続的な学習が不可欠です。多くの翻訳者は、オンラインコース、ワークショップなどに参加することで、最新の翻訳技術や業界トレンドを学びます。

翻訳業界でのキャリアは、高度な専門性と継続的なスキルアップが求められるため、挑戦的な側面も多いです。フリーランスとして働く場合は、不安定な収入や仕事の獲得に関するプレッシャーがあります。これに対処するためには、効率的なマーケティング戦略を持つこと、良好なクライアント関係を構築することが重要です。

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