ポストエディットとは?その意味や必要性をわかりやすく解説!

翻訳業界で近年聞かれるようになったポストエディットという言葉。機械翻訳が身近になった今、翻訳を必要とする方にとってポストエディットは不可欠なものとなるかもしれません。しかし、実際にどのような意味なのかを知らないという方もいるでしょう。今回は、ポストエディットとは何か、その必要性や注意点などを解説していきます。

目次

ポストエディットって何?

ポストエディットとは、機械翻訳の結果を人間が校正・編集する作業を指します。これは、機械翻訳の誕生に伴って生まれた作業ですが、その役割の重要なものと言えるでしょう。

機械翻訳は近年、大きく進化しており、ディープラーニングやニューラルネットワークを活用した翻訳システムは、日を追うごとに精度を高めていると言えます。しかし、これらのシステムであっても、文脈の誤解釈や不自然な表現、専門用語の不適切な使用など、さまざまな問題が発生することがあるのが現状です。

そのため、ビジネス文書や技術文書、ウェブコンテンツなど、正確性と言葉の流暢さが求められる場面において、ポストエディットは不可欠とも言えるステップとなっています。

ポストエディットの種類

ポストエディットには、比較的軽めな「ライト」と重めな内容の「フル」の二つのレベルがあります。

「ライト」は、文章の内容が理解可能であり、誤訳がないことを確認することが目的です。細かい文法的な誤りなどは無視されることが多いと言われています。

「フル」は、翻訳を出版レベルの品質にすることが目的です。正確性はもちろん、自然さや流暢さにも細心の注意を払います。

ポストエディットの必要性

機械翻訳は、大量のテキストを短時間で翻訳することができるため、時間とコストの削減に大きく貢献し、ツールによっては無料で手軽に翻訳をすることが可能です。しかし、文脈の解釈や正確性の点などにおいて問題が発生してしまうことも少なくありません。

ポストエディットは、これらの問題を修正する重要な役割を担っており、その必要性を下記にまとめます。

誤訳の修正

機械翻訳は、文脈を誤解したり、複数の意味を持つ単語を間違えたりすることがあると言われています。このような場合、本来の文章が伝えたいメッセージを歪めてしまう可能性があり、読者の誤解を招きかねません。

ポストエディットを行うことで、誤訳の修正、テキストの正確性の保証をすることができるため、特に重要な文書の場合には必要と言えるでしょう。

自然さと流暢さの向上

機械翻訳を使用した文章は、不自然で読みづらい表現になる場合があります。直訳に近い形で表現されたり、対象言語圏の言い回しや慣習に適合していないため発生するものと思われます。

ポストエディットを納品までのプロセスに含めることで、文章を自然で流暢なものにすることができ、読者の理解を助けて読みやすさを向上させることが可能です。

専門用語の正確な使用

ツールによって違いはありますが、専門分野における文章において正確性を欠く場合があります。特定の専門分野のニュアンスや用語を正確に把握することは、現状の機械翻訳では難しい場合があり、ポストエディットによって問題の修正をする必要があるでしょう。

ポストエディットで気をつけるべき点

質のばらつき

ポストエディットを担当する者の経験やスキルによって、品質にばらつきが出る場合があります。特に高い専門性を持つ文書の場合、適切な知識を有する翻訳者を見つける必要があるでしょう。また、オーバーエディット(過剰に修正をしてしまい、本来の文書の意味が損なわれてしまう)のようなリスクも考えられるので、経験やスキルの見極めは重要です。

追加の時間と費用

機械翻訳だけで納品するよりも、当然ですが追加で時間がかかります。また、ポストエディットを行うための追加の費用もかかるでしょう。事前に費用や納期を確認しておくことをおすすめします。

ポストエディットの必要性と注意点
ポストエディットの主な必要性と注意点です。

ポストエディットのプロセス

ポストエディットの作業の流れをご紹介します。依頼先によって違いがあるかもしれませんが、一般的な流れは下記です。

① 機械翻訳の実行

まず機械翻訳を行い、初期の翻訳結果を得ます。文書の種類などによって最適なツールを選択できるように、しっかりと調べた上でツールを決めると良いでしょう。ポストエディットを行うとはいえ、初期の翻訳結果の質も納品時の品質に影響を及ぼします。

② 初期レビュー・誤訳の修正

初期の翻訳結果を確認し、全体的な品質と修正が必要な箇所を特定します。文脈に合わない翻訳や、誤った専門用語の使用など、明らかな誤訳を修正します。この作業は、文書の正確性を保証するために不可欠と言えるでしょう。

③ 自然さ流暢さの向上

目的言語で自然に聞こえるよう、文法、構文、語彙の選択を修正します。目的言語のネイティブな人々が、読みやすく理解しやすい文書にすることが目的です。この作業をすることで、品質を向上させることができると言えるでしょう。

④ 最終レビュー

ポストエディットの担当者または他のエディターなどが、編集された文書を最終確認します。見落とされたエラーや不自然な表現をチェックし、納品物としての品質が保てていることを確認することが目的です。文書全体が一貫性をもって翻訳できているかのチェックも行われるでしょう。

ポストエディットのプロセス
ポストエディットの一般的なプロセスです。

まとめ

ポストエディットは、現状の機械翻訳の限界を補い、翻訳品質を高めるために不可欠なものとなっています。しかし、専門性の高い翻訳者を見つける難しさやオーバースキルのリスクなど、課題も残されています。

機械翻訳技術の進化により、ポストエディットの負担が軽減されることも期待されますが、人の力はまだまだ必要となるでしょう。近い将来、AIが自動でポストエディットを行うシステムなど、人間のポストエディット作業を補助するツールなどの登場は期待されるところです。