翻訳のスキルとは?翻訳者がスキルを磨くためのポイント7選!

翻訳のスキルについて考える時に、前提として翻訳は単に言葉を置き換える行為以上のものという点を忘れてはなりません。文化や文脈、文章が持つ細かなニュアンスを理解し、伝える能力が求められます。今回は、翻訳者がスキルを磨くための基本的なポイントをご紹介します。

目次

翻訳のスキルとは?

翻訳のスキルとは、異なる言語間で文化や意味、感情を的確に伝えるための総合的な能力を指します。この能力は、高度な言語能力、文化的感受性、研究と資料の活用能力、技術的な知識、編集と構成の技術、特定分野の専門知識、効果的なコミュニケーション能力などが含まれます。

翻訳者がスキルを磨いていくためには、この能力を一つずつ紐解いて考えていくことが必要でしょう。

言語能力の強化

翻訳者にとって最も基本的なスキルとも言えるのが言語能力です。母国語の深い理解に加えて、翻訳する言語の高度な知識が求められます。

ポイントは、豊富な語彙(専門用語を含む広範な語彙を持つこと)、文法と構文(文法ルールと構文パターンを理解すること)、表現の多様性(異なる文体やトーンを使い分ける能力)です。

言語能力を磨いていくためには、常に学ぶことが大切と言えるでしょう。語彙力を増強するためには、日常的に読書をすることや新しい単語の学習などは欠かせません。

近年では、ツールを利用したものなどオンラインでの学習方法も多様に存在しています。文法と構文や表現の多様性についても、学ぶ方法は豊富にあるでしょう。

文化的理解

言葉は文化と密接に結びついています。翻訳者は、単語の意味だけでなく、それが持つ文化的背景やニュアンスを理解する必要があります。文化間の違いを把握し、適切に表現することが重要です。

文化的理解を深めるためには、翻訳対象国の歴史と文化を学ぶことは大切でしょう。お祭りや祝日、慣習など、その文化特有のイベントや習慣について学ぶことも重要です。

また、身近なものでは、映画や音楽、文学などを通じて、その言語が持つ文化的な背景や価値観の理解を深めることも有効と言えます。このように、現地に行かなくとも文化的理解について磨く方法は考えられるでしょう。

しかし、直接現地の人々と関わることが最も近道と言えるかもしれません。日常的に関わることが難しい環境の方もいると思いますが、コミュニティを探して参加するなど解決策を探してみることをおすすめします。

研究と資料の活用

翻訳の精度と品質を高めるためには、研究と資料の活用は不可欠です。
翻訳をする際には、文脈や背景を深く理解する必要があり、これには徹底した研究と資料の活用が求められます。

翻訳は単なる文字の置き換えではないので、扱う文書によって広く情報を収集することが必要です。専門的な領域とまではいかなくとも、文書の内容に対して基本的な知識や最新の動向を抑えることが求められることはあるでしょう。

専門分野を扱う翻訳者であれば、最新の動向や専門用語などを抜かりなく抑えることは不可欠です。同僚や先輩翻訳者などに、フィードバックをもらうことも有効と言えます。

技術スキル

技術スキルは現代の翻訳業界において必須の要素です。これには翻訳支援ツール(CATツール)の使用、翻訳プロジェクトの管理、さらにはデジタルに関する知識などが含まれます。

CATツールは、翻訳作業を効率化し、品質を向上させます。これには、翻訳メモリ、用語データベース、自動翻訳機能などが含まれており、使いこなすことで翻訳の速度向上と一貫性を高めることができるでしょう。

また、デジタルに関する知識として、基本的なコンピュータースキルは必要と言えます。具体的には文書処理ソフトウェア、スプレッドシート、プレゼンテーションツールの使用能力などです。

さらに、リサーチ能力もここで挙げられます。検索能力とも言いますが、正確な情報を迅速に見つけ出す能力は不可欠です。

編集と校正の能力

翻訳した内容の正確性、流暢さ、一貫性を保証するために、編集と校正の能力は不可欠です。文脈に忠実で、読みやすく、誤解を招かないテキストを作成するためには、この能力を磨く必要があるでしょう。

編集の基本としては、文脈の理解(翻訳された文書の全体的な文脈を理解し、原文の意図を正確に伝えているかを確認する)、言語の流暢さの確保(自然で読みやすい言葉遣いを使用し、原文のニュアンスを損なわないようにする)、一貫性の維持(文体、トーン、用語の使用において一貫性を保つこと)が挙げられます。

校正の技術としては、誤字脱字のチェック(スペルミスや打ち間違いなどの基本的な誤りを見つけて修正する)、文法と句読点の正確性(文法の誤りや句読点の使用に注意を払い、言語の規則に従っているかを確認)、スタイルガイドの運用(クライアントやプロジェクト特有のスタイルガイドに従って編集と校正を行う)などが挙げられます。

このような能力を磨いていくためには、編集ツールや校正ソフトウェアなどのツールの知識や専門知識の学習など、定期的な学習が重要です。さらに、業界標準や新しいスタイルガイドについて学び、最新の要求に適応することも必要と言えるでしょう。

専門分野の習得

専門分野(法律、医学、技術文書など)に特化することで、翻訳者はより価値の高い市場を開拓することができます。専門分野の習得は、翻訳者が市場で競争力を保ち、より高い品質の翻訳を提供するための重要な要素です。

まず専門分野を選定するにあたり、自身が持つ知識に基づいて選定する場合が多いですが、市場需要の分析を行なって需要が高い分野を選ぶ場合もあります。需要の高い分野を新たに学ぶ場合には、基礎教育から始まり、専門用語などを学ぶ必要があるでしょう。

そこから、実際に専門文書の読解をするなど実践的な学習に取り組んで、実務経験へとつながっていくことが一般的な流れとなります。さらに、その分野の専門家と交流をするなど、深い知見が得ることで翻訳の品質を担保することにつながります。

コミュニケーション能力

クライアントとの効果的なコミュニケーションは、プロジェクトの成功に大きく影響します。クライアントの期待や要件を正確に理解し、適切に対応することが重要です。

具体的で明確な質問を投げかけることやニーズを正確に理解する能力など、より質の高いコミュニケーション能力が求められます。また、言葉遣いや態度など礼儀の面、要望に対する柔軟性や問題解決の姿勢など、プロジェクトを円滑に進めるための能力とも言えるでしょう。

メールやチャットなどオンラインでのコミュニケーションも増えているので、デジタルコミュニケーションの基礎も学んでおくと良いでしょう。

まとめ

今回は7つに分けて翻訳のスキルをご紹介しました。いずれも重要な要素となり、継続的に学び続けることが、プロフェッショナルな翻訳者としての成功の鍵とも言えます。

本記事でもたびたび言及してきましたが、デジタルの要素もプロジェクト全体を通して重要な要素となっています。言語能力はもちろんですが、デジタルの知識も並行して学んでいけると良いでしょう。

このように、学ぶことは多岐に渡り、継続した学びが必要となります。常に好奇心を持ち、新しい知識を吸収することで、翻訳の質も向上していくと言えるかもしれません。

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